親松寝具店さま

私たち「ひつじや」が、縁あって和棉の世界に触れるようになって、もう何年になるでしょう。
私自身、相方に分けてもらった和棉の種をベランダのプランターで育てるようになって、丸2年が過ぎました。
綿が繋いでくれたご縁で、親松寝具店さま(http://www.ecofuton.com/)へ伺わせていただきました。
まずは製綿工場を見せていただくことに~♪

(写真ボケボケでスミマセン……(泣))
ちょうど忙しさのピークを過ぎたところ、ということで機械は動いていませんでしたが、ひつじや二人「解綿機」や「カード機」間近に見られて感激です。
だってだって格好いいじゃないですか、働く機械って!! いやもう工場とか大好きです。多分動いてたら2時間3時間見続けても飽きないと思います。
「解綿機」にはオゾン殺菌装置もついています(打ち直し綿のときなどに使うのでしょうね)。
解綿機でほぐされた綿はダクトを通ってカード機へ。針布は見えませんでしたが、綿用だから羊毛のよりは細かいんだろうな~。(繊維が太く長くなるほど、針布は粗くなります)
3Fではちょうど職人さんが掛け布団を仕上げているところでした。
シート状になった綿を広げ、大きさを揃えつつちぎり、厚みが必要なところに重ねていく。中表になっていた布団布をひっくりかえし、入れ口をかがる(めっちゃ早い!)。ひっくり返したことによって捩れた綿を叩いて直し、布となじませる。布と綿がずれないよう、絹糸でポイントポイントを押さえていく。
しばらくじ~っと見せていただいていたんですが、手に迷いがないのがすごい! ひゃあ~。
* * *
お店のほうへお邪魔し、さまざまな綿も触らせていただきました。

(よくよく考えてみたら、お布団屋さんに入ったのは初めてかもしれません…。)
羊もそうですが、綿も品種によって「同じ綿なのか!?」と思うほど違いがありました。
今まで触ったことのある「棉」といえば、「自分で育てた和棉(大島種)」か、「綿スライバー(たぶん米綿)」くらい。
和棉である「弓ヶ浜種」も触らせていただいたんですが、大島種とはまったく違う手触りでした。
「弓ヶ浜」は布団にとても適しているそうです。(ただ、現在は収穫量の問題で「弓ヶ浜」お布団の注文は受け付けていないとのこと。残念!)

(弓ヶ浜の実。棉繰り機も綿打ち弓もあります。右側はコットン糸。親松さんのお店のオーガニックコットン布団は、使う糸までオーガニックコットンなのです)
羊もどの品種が高級というわけではなく、あくまでも用途によって適した品種適さない品種があります。
マフラーに適した品種、服地に適した品種、ラグやカーペットに適した品種etc。
布団用の綿も同じ。
敷布団にするのか。掛け布団にするのか。硬めが好きなのか、柔らかめが好きなのか。
そしてコスト。高いから良いかというと、そういうことでもない。
そういった、「材料」を手元に、「お客様のお好み」を聞き、「予算」を念頭に置きつつ、ブレンドしたり厚みを考えたりして「そのお客様に適した状態へ近づける」、そういうことをするのが「寝具屋」さんなのですね。
大変興味深いお話を沢山聞かせていただけて幸せでした。
本当にありがとうございました。
p.s.
綿の大規模生産地では大量に栽培された棉を収穫するとき、枯葉剤を使うこともあるそうです。(機械で一気に収穫しようとすると葉が邪魔→枯葉剤で葉を落としちゃえ、ということ)
そのお話を聞いたとき、5年ほど前にベトナムの遺跡に行ったときのことを思い出しました。
そのあたりはベトナム戦争時、米軍が枯葉剤を巻いたというのです。
熱帯地域なのに、戦争から何十年もたっているのに、森らしきものがないのです。立ち木は少なく、山は禿山。
じりじりと容赦なく照りつける太陽と、黒ずんだ石造りの古い遺跡と、白い禿山と大地。
使用量に差があるとはいえ、あの光景を作り出したのも枯葉剤。私たちが身につけている綿製品も、多分同じ枯葉剤を浴びている。
じゃあ、農薬を使わないですむ「遺伝子操作した綿」ならいいかってえと、そういうことでもない…。(それはそれでコワイ…)
和棉を育ててみるとわかるのですが、これらは農薬も肥料もほとんど必要ないのです。風土に培われた種類をあるがままに育てれば、なにを足すこともないといういい例ですね。
むろんイイコトばかりではなくて、和棉は洋綿と違って下向きで実がはぜるので、すぐに手で収穫しなければなりません(でないと落ちちゃうからね)。
大量生産には向かない。
だけれども、そもそもそこまで「大量に生産」する意味があるのだろうか。とか。
しみじみ考えてしまいます…。

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