ご質問をいただきました。
「ふとん綿はニードルフェルトの材料として使えるの?」
ふむふむ。
では、まずは原理を確認しましょう。
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ネット検索するとニードルフェルトの原理として「キューティクル云々」と書いているページもあるのですが、正直ニードルフェルトにキューティクルは関係ないだろうと思います。(キューティクルを繊維と同義にしているような表記もありました。こうして誤解曲解ががが)(キューティクルが関係してくるのは石鹸水フェルトですね)
ニードルフェルトというのは、特殊な針を繊維の束に突っ込む→針の先に刻んである「かえし」にごく少量の繊維がひっかかり、他の繊維と繊維の間に絡ませて(潜り込ませて)いく→突いて絡ませ続けた結果、繊維の束が固まる、という手法です。
なので、ポイントは「その繊維はかえしにひっかかる太さか」と「潜り込ませたときに、他の繊維に絡まってとれないくらいの長さがあるか」です。
綿の繊維は羊毛と比べて細くて短いです。
かえしには引っかかりますが、繊維長が短いので他の繊維の間に潜り込んでもすぐに引き抜ける、はずです。
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理屈ではわかっていても、とりあえずは実践(実験)も必要です。
太いニードル:そもそもふとん綿に刺さりません…。(正直これは想定外)
綿の繊維は羊毛と比べて短い&細い。そのためカード済の綿シートは羊毛シートに比べて「密度が高い」のです。
太い縫い針を例にすると、目の粗い生地には刺す(通す)ことができますが、目の詰まった生地には通らない、これと同じことですね。
細いニードル:羊毛ほどさっくりとはいかないものの刺さりますし、突くことで繊維は多少絡み合います。
が、羊毛と比べて綿は繊維長が短いので簡単にはがせます。絡み(潜り込み)が浅いのです。
ひたすらに突き続ければ層がはがれないくらいまで一体化はさせられるでしょうが、他の部分も綿である限りは所詮繊維長1cm弱、手で千切れます。
上下の層の間に渡って(縦方向に引き攣れて)いるのが、「かえし」にひっかかって下へもぐりこんだ繊維です。
綿の繊維は1cmないので、簡単にはがせます。(ちなみに羊毛は繊維長5~7cmくらいあります)
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結論:
どうしてもコットンでやりたい!という強い意志があるなら無理に引き止めるつもりはありませんが、正直その労力は別な部分へ振り分けた方が建設的だと思います。
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備考:
100均で売っている化繊綿を芯に使う方もいらっしゃるみたいですね。
羊毛と同じくらいの太さ長さの繊維であれば、ニードルフェルトの材料にはなるだろう、と思います。(石鹸水フェルトは無理ですが)
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どなたかの参考にでもなれば幸いです。


