私が紡ぎを始めたころと比べて、今は様々なメーカーさんの紡ぎ車が出回っております。
選択肢が少なくても悩むとゆーのに、メーカーまで増えてこの上どうしろと! と逆ギレをかましたくなってしまいますね。
私も最初の1台を購入するとき、ものすごく悩みました。
欲しい情報がなかなか手に入らず(英語の文献にあたる、というアタマがなかったせいもあります…)、数年悩んで悩んで初代を購入した記憶があります。
ちょっくら長いので畳みます↓
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以下は「これが正しい」「こうすべき!」という話ではございません。
あくまでも「こういう考え方もあるのね~」程度で軽くお読みくださいませ。
まあ俗に「家は3回建てないと満足しない」なんて言いますが、正直紡ぎ車も「ジプシー覚悟」な部分はあります。
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【紡ぐ姿勢と紡ぎ車】
紡ぎ車はあまり外に持って歩く道具ではないので、私もあまり多くの事例を見たことがあるわけではないのですが、左手で繊維を持って引くケースが多いようです。
(上から見た図:左は足踏み式サクソニータイプ、右は日本の糸車)
ちなみに私は逆です。右手でひいています。
(上から見た図。足踏み式サクソニータイプ)
繊維をひく距離が短ければ「ショートドロー」、長ければ「ロングドロー」となりますが(厳密にはまたアレなんですけど、まあ姿勢だけ取り上げてざっくりと)、吸い込み口が体の真正面に来る紡ぎ車でロングドローをやろうとすると、引く方向が右でも左でも絶対に上半身はよじれます。
(上から見た図。足踏み式サクソニータイプ、左手に繊維をもって左へ引く場合)
私はこれが駄目でした。
吸い込み口を体の左側に置き、(ロングでもショートでも)体の真正面の広い領域で糸を作る癖が染みついているので、「体をねじる」と腰が痛くなって、長く踏んでいられない。両足ペダルも同じ理由のために体に合いません。
KakaraWoolWorksさんがMajacraftの輸入をはじめられたころ(10年くらい前ですかね)に渋谷だったか青山だったかで試しに触らせていただいたのですが、コンパクトなボディがスペシャルに魅力的な1台でしたが、どうにも体に合わず購入を断念しました。
なので、もし「最初の1台」を買う場合、紡ぎ車の選び方として「あなたが良く作る(多く作りたい)糸はショートドローですかロングドローですか」が問題です。
そして先日アップした「正しい糸」と同じく、「紡ぐ姿勢」も良い悪い、の話ではありません。右に引くのが正しい、左で引くのは正しくない、そういう話でもありません。
「紡いでる自分が楽かどうか」「出来上がった糸が自分の望んだ形かどうか」、すべてはそこに尽きると私は思っています。
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【ダブルかシングルか、アップライトかサクソニーか】
私自身はダブルドライブが好きです。
ダブルドライブはフライヤーよりも小さな動輪のボビンにもドライブベルトをかけることで「糸を引いている手を緩める」→「ボビンのほうが早く回る」ことでボビンに糸を巻き取ります。
シングルドライブは「糸を引いている手を緩める」→「ブレーキバンドがかかっているボビンの回転が遅くなる」ことで巻き取ります。つまり「ずっとブレーキ(抵抗)がかかりっぱなし」で回っているので、踏み板が重いのです。
ちなみに電動は基本シングルドライブです。電動でフライヤーをぶん回すので、ブレーキがどれだけ重くなろうが関係ない。
あとはダブルドライブのほうが調節する箇所が少ない、という利点があります。
ドライブベルトが1本ですから、その張り具合を調整すればフライヤーと車輪の連動と吸い込み具合、2ついっぺんに調整できる。
シングルだとそれぞれ調整ノブがあるので、2つをじわじわ調整しないといけない。初心者の場合、そのバランスが取れたポイントを探すのに苦労します。
初心者は特に「慣れるまでは調整箇所が少なく、カンタンな方がいい」と思います。
そしてアップライトかサクソニーか。
車輪の上にフライヤーがある紡ぎ車を「アップライト・ホイール (upright wheel)」、車輪の左(もしくは右)にフライヤーがくるタイプの紡ぎ車を「サクソニー・ホイール(saxony wheel)」と呼びます。
私は上記の通り「上半身をねじるのが駄目」なので、ほぼ両足踏みのアップライトはそもそも選択肢に入りません。しくしくしく…
サクソニータイプにも車輪の大きさ、回転比、吸い込み口の高さ、踏み板の軽さ等々違いがあります。
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【じゃあどれを買ったらよいのでしょう?】
オールマイティに使える紡ぎ車はどれですか、なんてことも聞かれます。
私は「ホームスパン(織り)にもアートヤーンにも使えるマルチなヤツ」ということだろうと解釈していますが、正直弘法筆を選ばず、工夫次第&腕次第では?(身も蓋もない!)と思っています。
もちろん物理的に吸い込み口に入らない太さの糸は紡げないわけで、そこはフライヤーごと丸とっかえだったり何がしかの対応作業は発生するわけですが、だからといって「換えたら誰でも出来る」わけではない。
どこまでいっても紡ぎ車は「道具」です。
超お高い筆を買ったからといって達筆になるわけではないように、いい or 高い紡ぎ車を買ったところでちょー素敵な糸が紡げるわけでは決してないです。(紡いでて楽、はあるかもですが)
紡ぎ車を購入する場合には、とにかく試しに紡いでみましょう。できるだけ長い時間、羊毛・綿・麻・絹と素材を変えて。
どんだけフォルムに惚れ込んでいても、どうしても紡ぐ姿勢が合わなかったりするかもしれません。逆に眼中になかった紡ぎ車がものすごーく心地よく紡げるかもしれません。
「相性」なので、私に合うものがあなたにも合うかはまったくわからないのです。
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【そんな私の紡ぎ環境】
一番最初に購入したのはアシュフォード社のトラディショナル・ダブルドライブでした。(アシュフォード社の取扱店さんはいっぱいあるので、リンクは貼らないでおきます)
ダブル/シングルドライブの差については購入時はよくわかっておりませんでしたが、ダブルを選んだ私は正しかった!
調整箇所がノブ一つなので、紡ぎ車の調整不足による「ああもう上手くいかないけど、どこを調整しなきゃならないのかわからん! イライラするぅっ」感がほぼありませんでした。
またイベントに持っていくこともあるので安価であること、また丈夫であること、をメインに選択しました。
(ただ、当時はアシュフォード社しか選択肢がなかった状態なので、メーカーが複数選択可能な現在だったらまた選択結果は違っていたかなあと思います)
その後とあるご縁でトラディショナルのシングルを迎え、東京手織機さんの電動紡ぎ車を迎え、現在の主力は通算4台めとなるハンセンクラフツさんのミニスピナー(クラシック)です。2017年9月に更に高速でぶいぶい行く「ミニスピナー プロ」が発売開始! だそうです。
トラディショナルは最早すでに「長老格」(15年以上使いこんでるので…)、イベントで見たときの「なんかやってる!」感はすごいものがあります。インパクトで勝負だぜ!というときには、専用の運搬袋(自作)に入れて、会場まで担いでいきます。
そして量を作らなければならないときはミニスピナーが大活躍。2015年東京スピニングパーティで初めて出会い、その時の売上をつぎ込んで(笑)購入しました。
形も動きもとても洗練されていて「黒船キタ――(゚∀゚)――!!」でしたが、アメリカのコミュニティサイトなんかを除くとミニスピナーの形状の歴史とか垣間見えて面白いです。形に歴史あり…。
難点はお高いこと。私自身は性能相応のお値段と納得しておりますが、「この先手紡ぎを続けるかどうかわからない」初心者の方がひょいと買う、というのは難しいかな。
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まあ、正直私も自分自身が使ったことがある紡ぎ車について「だけ」しかお話できないので、他のメーカー使用者さんにもお話聞いてみたいなあ、とも思います。(販売店さんはどうしたって「いかに美味しいか」を話さないといけないので・笑。正直ユーザーとしちゃあ美味しくなかった部分をね、聞きたいよね)
どなたかの参考にでもなれば。




