前回のメリノの話、羊クラスタ外のみならずクラスタ内の方々の反応もよくて、ちょっとにんまりしております。
…てか、私より書けるネタ多いでしょ皆さん!
書け! 書くのだ! そして羊沼の奥深さを世に知らしめるのじゃよ!
わたしができるのは「手紡ぎ用の羊毛」の中でも、更にごくごく狭い世界でのお話です。
(基本日本国内及び英国と豪州NZあたりの話がメインで、手紡ぎと牧羊が盛んなアメリカやそのほかの欧州までフォローできてません)
アメリカや欧州の羊事情手紡ぎ事情、工業用羊毛や食肉については「うっすら伝え聞いたことがあるようなないような…」程度ですので、ぜひそのあたりはその道のプロが口を開いてくださるのをお待ちしております✨
知らない世界の話は面白いよねー
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さてさて、続いてシュロプシャーです。
シュロプシャー Shropshire
……イラストではありますが、もう明らかにメリノとは別種だとわかりますね。
ずんぐりむっくりな体形、お顔にもかかるもしゃもしゃな毛。
英国原産で、ダウン種というジャンルに分けられる羊です。
英国は山岳を主な生息地とする「マウンテン・ヒル種」、それよりも低い丘陵地に生息する「ダウン種」等、多種多様な羊の原産地です。離島であるマン島やシェットランド諸島にもそれぞれ「マンクス・ロフタン」「シェットランド」という固有種がいます。
他にもたくさんレアブリードやらそうでないのやらいたり、人間が近代に固定化した種と昔っからの品種がいたり……「羊の品種」というのもこれまた大変ディープな世界です。
どの品種も肉毛兼用種です。というか、羊というのは基本、肉毛乳すべてを活用する家畜と考えて間違いありません。
品種によって「毛質が良い」「乳量が豊富」「肉がうまーい」など向き不向きがあるものの、毛だけ刈ることが目的な品種はないのです。…多分。
ちなみにダウン種は肉が美味しい品種が多く、日本国内でもサフォークやサウスダウンなど多くのダウン種が飼育されています。
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手紡ぎやフェルトに使う羊毛を取り扱うと決めたとき、まずどうしたって外せないのはメリノでした。
毛質が近い品種は様々ありますが、メリノはどうしたってメジャーで流通量が多く、価格も質も安定している。
手紡ぎやフェルトの世界において、文句なしにキングオブウール、といえるかと思います。
そして、次に考えたのは「メリノとは違う特徴」を持っている品種。
当初はコリデールのみでしたが、近年コリデールとも違う弾力のあるシュロプシャーも取り扱うようになりました。
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シュロプシャー(ダウン種)のぷりぷりとした弾力は、紡いで編んだニット地を触ってみても実感できます。
ぎゅっと掴むと手を押し戻す感覚がメリノよりも強い。
そしてメリノと比べ1本1本の繊維の縮れ(クリンプス、といいます)が強いのか、繊維同士が粘りつく感触が少な目です。
私自身は初心者の方に「紡ぎやすいのはどれですか?」と聞かれたら
「シュロプシャー」をおススメしています。
羊毛が思ったように引き出せないのよキー!てなることが少ないので、初めてさんにはストレスが少なめ。
ただ、正直なところ、首回りのネックウェアを作るにはちょっと硬すぎる…。
手袋やセーターにはいいのですが。
もしネックウェアを作りたい!という強い気持ちがあったり、メリノの手触りが好き!という場合は、それでもシュロプシャーじゃなきゃダメよ、とは言いません。
だって、「手紡ぎは楽しくないとやっててつまんないじゃん?」と思うので。
好きな色な好きな手触り。
そっちを優先したほうが良いだろうと、個人的には思います。

