自分の知らないことを知ることは楽しい。
しかしどっぷり浸かると「自分の持ってるネタのどれが、他の人にとって知らない=知ると楽しいこと、なのかがわからない」という状態に陥ります。
先日葉っぱ小屋さんで染めのお話をしたところ反応が良かったので、需要がなくてもアップ!(笑)
【羊毛(ウールトップやネップ、ウール毛糸)を染める場合】
ひつじやではウールはデルクス、ラナセット、イルガラン等のいわゆる「酸性染料」を使って染めています。
酸性染料とはなんぞや、というお話は大変難しくて私には説明できないのでググってみて(googleが開きます)くださいませ。化学ちゃんと勉強しておくんだった、と検索結果の文章を見るたび思います…。
手順としては
1. 染めるもの(ウールトップや毛糸)を前日からぬるま湯に漬けておく(湿潤)
2. 酸性染料をお湯で溶く
3. 染める鍋に羊毛がヒタヒタになるかならないかくらいの水を入れる(目分量)
4. 酢酸を少量加える(目分量)
5. 羊毛を鍋に入れて水量調整し、火(極弱火)にかける
6. 溶いておいた染料を加減を見ながら羊毛の上に落とす 乾くと一段階薄く明るくなるので注意
7. 羊毛が染料を吸いきったら(お湯に色がなくなったら)火を止めてそのまま放冷
8. 冷めたら洗濯機で脱水
9. ぬるま湯ですすぎ洗いを2回ほどして洗濯機で脱水
10. ハンガーにかけ、繊維をほぐすように広げて(フェルト化している部分を広げて)から干す
・火加減はずっと弱火。
・私は沢山の色を少ししか使わないので、染料は焼きプリンの空きカップなどを染料の数分用意して、色別に使い分けています。染め液が余ったら、ぶちまけない様箱に入れてそのまま保管(早めに使い切ったほうがいいとは思います)。
・鍋の水の量が多いと染料の混じったお湯が対流を起こして色が混じりやすいので、多色染めするなら水は少な目推奨。(単色でムラなく染めたいのであれば水と染料は多め)
・羊毛は冷めていく際に更に染料を吸います。希望の染まり具合になった時点で鍋からザルへ引上げて自然放冷、でも大丈夫。
・酢酸(目分量)ですが、モノの本によると「染めるものの5~10%」とあります。あんまり多く入れると後々まで臭うので要注意。
・色止め剤は使っていません(一応持ってはいますが…)。それほど濃く染めていないせいか、これまで色落ちしたことはないです。(一応商品には「色落ちの可能性があります」と明記しております)
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羊毛染めはどうしても「フェルト化」という宿命と戦わざるを得ません。
羊毛がフェルト化する3つのポイントは「温度差」「振動」「アルカリショック」。
逆に言うとこの3つをやらなきゃフェルト化しない、のです。
・熱い羊毛に冷たい染め液は投入しない
・染めあがった熱い羊毛を冷たい水に投入しない
・熱い羊毛を触りすぎない
鍋染めの場合、一番面倒なのはやぱり温度差かな、と思います。
昔々のそのまた昔に受けた染めの講座で、「羊毛の場合、許される(フェルト化しない)温度差は5度以内」と聞いた記憶がうっすら…。
また「濡れているときに触るとフェルト化する」という説もありますが、実感としては「あまり変わらない、かなあ?」という気がしています。
温く湿った状態で「揉む」とアウト(フェルト化待ったなし!)ですが、繊維をさばく程度であれば問題ないかな、と思います。むしろ濡れている(洗濯機脱水済み)状態のほうがほぐしやすい…。
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紡ぎ同様我流もいいところなので、「教わった方法と違う!」ということもあろうかと思いますが、まあご参考程度でよろしくお願い申し上げたく候。


